素人さん

毎日、お稽古三昧で、先生にどなられ、もがいていた当時、知り合いのおじさんが見学したいと言うので道場に連れて行きました。

1時間ほどして先生が脇に立たれて、耳元で「素人さんは、ほんとの上手下手は見えないからな。」と囁かれました。
とりあえず「はい。」と返事したところ、先生は、「ん。」と頷かれて向こうにいかれました。

20年も前のことですが、未だに先生が何を伝えようとなさったのかわかりません。
でも、「あ、あのおじさんは素人さんで、私は違うんだ。」

この鮮烈な喜び! 初めてでした。

恐れ多くてこわい存在の先生が、花柳界のような、「あんたは素人さんではなく、こっちの人」という言い方をなさったのも新鮮だったのですが、それまで20年近く稽古して、わからないことだらけで、自信のカケラもなかった私が、初めて先生に受け入れられていたことを肌で感じた瞬間でした。

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